電流計算ツール
電流とは?
電流とは、電気回路内を流れる電荷の移動量を表す物理量です。単位はアンペア(A)で、1秒間に1クーロン(C)の電荷が移動する量を1アンペアと定義します。電流は電気回路の設計や電気機器の選定において最も重要なパラメータの一つで、配線サイズやブレーカー容量の決定、電気機器の仕様確認などに使用されます。
電流の種類
直流電流(DC)
方向と大きさが一定の電流。バッテリーや太陽光発電、LED照明などで使用されます。家庭用コンセントから取る前に、ACアダプターで変換することが多いです。
交流電流(AC)
方向と大きさが周期的に変化する電流。家庭用コンセントや商用電源として広く使用されています。日本では50Hz(東日本)または60Hz(西日本)の周波数が使われています。
電流計算の基本公式
電流の計算には主に次の3つの公式が使われます:
オームの法則による計算
I: 電流 (A)
V: 電圧 (V)
R: 抵抗 (Ω)
電力による計算(直流・単相交流)
I: 電流 (A)
P: 電力 (W)
V: 電圧 (V)
三相交流の計算
I: 電流 (A)
P: 電力 (W)
V: 線間電圧 (V)
cosφ: 力率
電流計算の注意点
- 交流回路では力率(cosφ)を考慮する必要があります
- 三相回路では√3の係数が必要です
- 交流回路では実効値を使用します(特に記載がない場合)
- 大電流では配線の発熱や電圧降下を考慮する必要があります
電流計算
電流計算の実用例
例題1: 家電製品の電流計算
条件:
- 製品: エアコン
- 消費電力: 1500W
- 電源電圧: 100V (単相交流)
- 力率: 0.85
計算:
I = P ÷ (V × cosφ)
I = 1500 ÷ (100 × 0.85) = 17.65A
判断: 20Aのブレーカーが必要
例題2: 工場設備の電流計算
条件:
- 設備: 三相モーター
- 出力: 5.5kW
- 電源電圧: 200V (三相交流)
- 力率: 0.8
- 効率: 0.9
計算:
入力電力 = 出力電力 ÷ 効率 = 5500 ÷ 0.9 = 6111W
I = P ÷ (√3 × V × cosφ)
I = 6111 ÷ (1.732 × 200 × 0.8) = 22.1A
判断: 30Aの配線と保護機器が必要
安全な電流値と配線容量
配線サイズと許容電流
電線サイズ | 許容電流 (A) | 一般的な用途 |
---|---|---|
1.6mm² | 17A | 照明回路 |
2.0mm² | 20A | 一般コンセント |
3.5mm² | 35A | エアコン・給湯器 |
5.5mm² | 50A | 電気温水器・動力回路 |
8.0mm² | 60A | 分電盤引込線 |
※ 内線規程に基づく60℃時の許容電流値(参考値)
電流値に関する注意点
-
始動電流の考慮
モーターなどの機器は始動時に定格の5~7倍の電流が流れることがあります
-
温度による影響
高温環境では配線の許容電流を下げる必要があります
-
電圧降下の考慮
長距離配線では電流による電圧降下を考慮する必要があります
-
同時使用率
複数の機器を接続する場合は同時使用率を考慮して容量を決定します
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電気設備技術者からのアドバイス

「電流値は電気設備の安全性を左右する重要な要素です。特に大電流を扱う場合は、配線サイズの選定だけでなく、接続部の処理や保護協調、熱対策なども考慮しましょう。また、インバータなどの非線形負荷では高調波による影響も考慮する必要があります。不明点がある場合は、必ず電気工事士や電気主任技術者に相談してください。」