電線サイズ・電圧降下早見表|許容電流とこう長の確認表
電線サイズを決めるときは、ブレーカー容量だけでなく、許容電流と電圧降下をあわせて確認します。このページでは、配線設計の初期確認に使いやすい早見表と、現場で見落としやすい判断ポイントを整理します。
この早見表で確認できること
このページは、電線サイズを最終決定するための規格表ではなく、候補を絞るための確認ページです。負荷電流、電線の太さ、こう長、電圧降下率を先に整理しておくと、あとで 電圧降下計算ツール を使うときの入力条件も迷いにくくなります。
電線サイズの候補
VVF 1.6mm、2.0mm、2.6mm や CV ケーブルを検討する前に、用途と負荷の大きさを整理します。
許容電流の確認
負荷電流に対して電線が細すぎないか、施工条件で余裕が不足しないかを確認します。
最大こう長の目安
距離が長い配線で、候補サイズが電圧降下の面でも使えそうかを大まかに見ます。
精算が必要な条件
早見表だけで判断しにくい長距離配線、モーター負荷、管内本数が多いケースを切り分けます。
電線サイズを決める前に見る3つの条件
許容電流
負荷電流が電線の許容電流を超えないかを確認します。周囲温度や配管内の本数が増えると、同じ電線でも流せる電流は小さくなります。
こう長
電源から負荷までの配線長です。こう長が長いほど電線の抵抗分が効き、同じ電流でも電圧降下は大きくなります。
電圧降下
負荷端の電圧が下がりすぎないかを確認します。照明のちらつき、モーターの起動不良、機器の効率低下につながることがあります。
電線サイズ別の用途目安
住宅や小規模設備でよく見る電線サイズは、用途によって確認すべきポイントが変わります。以下は代表的な見方であり、実際の許容電流は電線種類、心数、敷設方法、周囲温度で変わります。
| 電線サイズ | よく確認される用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| VVF 1.6mm | 照明、小容量コンセント、短い分岐回路の候補 | 距離が長い場合や負荷電流が大きい場合は電圧降下を確認 |
| VVF 2.0mm | 一般コンセント、エアコン専用回路などで検討されやすいサイズ | ブレーカー容量だけでなく、こう長と連続負荷を確認 |
| VVF 2.6mm | 長めの分岐回路や比較的大きい負荷の候補 | 施工性、端子適合、保護装置との組み合わせを確認 |
| CV 3.5sq以上 | 幹線、小規模動力、分電盤間の配線候補 | 電圧降下、許容電流、短絡時の保護条件を分けて確認 |
| CV 5.5sq以上 | 三相負荷、ポンプ、空調機、長距離配線の候補 | 起動電流と力率を含めた詳細計算を優先 |
許容電流早見表の見方
許容電流は、電線の種類と敷設条件によって変わります。下表は「電線サイズを決める前に何を見るべきか」を整理するための確認表です。数値はメーカーや規格表で確認し、条件が厳しい場合は補正係数を考慮します。
| 確認項目 | 見るポイント | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 負荷電流 | 実際に流れる最大電流、連続運転時間、起動電流 | 連続負荷やモーター負荷は余裕を持って確認 |
| 電線種類 | VVF、CV、IV、VCT などの種類 | 同じサイズでも許容電流は同一ではない |
| 施工条件 | 露出、管内、ダクト内、束ね配線、周囲温度 | 放熱しにくい条件ほど許容電流は下がる |
| 保護装置 | ブレーカー容量、過電流保護、分岐回路条件 | 電線だけでなく保護協調も確認する |
参考:公開されている電線メーカー資料では、周囲温度30℃を基準にした許容電流表や、温度補正係数が示されています。
許容電圧降下の目安
電圧降下は「何V下がったか」だけでなく、「電源電圧に対して何%下がったか」で確認します。同じ4Vの降下でも、100V回路では4%、200V回路では2%となり、影響の見え方が変わります。
| 回路の見方 | 確認する目安 | 注意したい負荷 |
|---|---|---|
| 一般的な照明・コンセント回路 | 2%前後を超えないかをまず確認 | LED照明、電子機器、屋外コンセント |
| 幹線と分岐回路を合わせて見る場合 | 幹線側と分岐側を分け、合計の降下率を見る | 分電盤から離れた部屋、離れ、屋外設備 |
| 動力・モーター回路 | 定常時だけでなく起動時の電圧低下も確認 | ポンプ、コンプレッサー、ファン、工作機械 |
| 精密機器・制御機器 | 機器仕様書の入力電圧範囲を優先 | 制御盤、医療機器、通信機器、計測機器 |
単相200Vの最大こう長早見表
次の表は、単相2線式200V、許容電圧降下4Vを前提に、簡易式から求めた最大こう長の目安です。VVFの代表的な導体径を断面積に換算して計算しています。
| 電線サイズ | 断面積の目安 | 10A | 15A | 20A | 30A |
|---|---|---|---|---|---|
| VVF 1.6mm | 約2.0mm² | 約22m | 約15m | 約11m | 約7m |
| VVF 2.0mm | 約3.1mm² | 約35m | 約23m | 約17m | 約11m |
| VVF 2.6mm | 約5.3mm² | 約59m | 約39m | 約29m | 約19m |
e = 35.6 × L × I / (1000 × A) を使い、電圧降下 e = 4V として逆算しています。実際の許容電流や施工可否は、この表だけで判断しないでください。
単相100V・単相200V・三相200Vの比較早見表
電線サイズの選定では、同じ電流・同じこう長でも、回路方式によって電圧降下率の受け止め方が変わります。特に単相100Vは、少しの電圧降下でも割合が大きくなりやすい点に注意します。
| 回路方式 | 4V降下時の割合 | 向いている確認 | 早見表を見るときの注意 |
|---|---|---|---|
| 単相100V | 約4% | 照明、コンセント、小型家電 | 長距離では早めに電線サイズを上げる検討が必要 |
| 単相200V | 約2% | エアコン、IH、小型設備 | 負荷電流と専用回路条件をあわせて確認 |
| 三相200V | 約2% | モーター、ポンプ、業務用設備 | 力率、起動電流、電線インピーダンスを考慮 |
単相100V・三相200Vでは確認点が変わる
単相100V
同じ4Vの電圧降下でも、100V回路では4%になります。家電、照明、小型機器では電圧変動の影響が目立ちやすいため、長距離配線では早めに太い電線を検討します。
- 2V降下で約2%
- 4V降下で約4%
- 距離が長い庭園灯、屋外コンセント、離れの配線は要確認
三相200V
三相回路では計算係数が変わり、力率やモーター起動時の電流も確認対象になります。定常運転では問題なく見えても、起動時に電圧が落ちるケースがあります。
- モーター容量と起動方式を確認
- 力率が低い負荷では詳細計算を優先
- 分電盤から設備までのこう長を実測に近い形で見る
電線サイズ確認の具体例
例として、単相200V、負荷電流20A、分電盤から機器までのこう長が15mの回路を考えます。早見表では VVF 1.6mm の20A欄が約11m、VVF 2.0mm の20A欄が約17mなので、電圧降下だけを見ると VVF 2.0mm 以上が候補になります。
早見表での判断
- VVF 1.6mm:20Aで約11mのため不足しやすい
- VVF 2.0mm:20Aで約17mのため候補に入る
- VVF 2.6mm:約29mまで余裕を見やすい
最終確認で見ること
- 許容電流が施工条件で足りるか
- 端子や機器側がその電線サイズに対応するか
- 起動電流や連続使用の条件が厳しくないか
このように、早見表は候補を絞るために使い、最終判断では実際の条件で計算と資料確認を行います。
電圧降下早見表を使う手順
早見表だけで判断してはいけないケース
| ケース | 理由 | 推奨する確認 |
|---|---|---|
| こう長が長い | わずかな抵抗差でも電圧降下が大きくなる | 詳細な電圧降下計算を行う |
| モーターやポンプ | 起動電流で一時的に電圧が大きく下がる | 起動条件と保護装置を確認 |
| 管内本数が多い | 放熱が悪くなり許容電流が下がる | 電流減少係数を確認 |
| 周囲温度が高い | 絶縁物や導体温度の条件が厳しくなる | 温度補正係数を確認 |
| 医療・制御・精密機器 | 電圧変動への許容範囲が狭いことがある | 機器仕様書の入力電圧範囲を確認 |
より正確に確認する
早見表で候補サイズを絞ったら、配線長、電流、電圧、電線サイズを入力して、電圧降下率を確認してください。許容値に近い場合は、電線サイズを上げる、こう長を短くする、負荷分散を検討するなどの対策が必要です。
関連ページでさらに確認する
参考資料
本ページは、公開されているメーカー技術資料や電気設備関連資料を参考に、配線設計の初期確認向けに整理しています。